経済・政治・国際

2015年4月25日 (土)

「寄りかからないで」

  最近、興味ある報道番組が減りつつあるなか、土曜日放送のBSジャパン「マネーの羅針盤」が出色だと私は思う。蟹瀬誠一・キャスターの軽妙なリードで、経済・金融の難しい問題に視聴者を惹き込んでいく。加えて、田中 宏明・コメンテーターのウォール街情報も非常にわかりやすい。即ち、先週末のNY市場はナスダックが史上最高値を記録したのに、経済指標が概して芳しくない。今や「米国頼み」に陥っている世界経済だが、「そんなに寄りかからないで」というのが米国のホンネらしい。悪化している要因は、「西海岸の港湾スト」「原油安」「異常寒波」「急激なドル高」の4つ。「利上げを9月にも」と言っていたイエレン・米FRB議長がその時期を明言しなくなった・・・

  特に、急激なドル高が輸出企業に深刻な影響を与えているという。この原因は各国の超金融緩和にある。米国も昨秋の「G20」ではそれを容認していたフシがある。それが限界に来たということだろう。唯一の成長エンジンの米国に頼ってきただけに、世界は戦々恐々だ。特に日本やヨーロッパが米国に甘え過ぎているのかもしれない。そんな中、安倍首相が訪米する。TPP、TPAについてどんな決着を図るのか。一筋縄ではいかない米議会のこと、上下院合同議会での演説を含め、どんなメッセージを送るのか、その外交ぶりを世界は注視しているに違いない・・・オバマ大統領、安倍首相をどんな形で歓待するのだろうか!?・・・

  今日の一句は、「雀の子 一人前に ダンシング」柴田真帆。

2015年4月20日 (月)

官邸が大銀行に下した命令!

 今日発売の週刊現代5/2号のスクープ記事「安倍官邸 大銀行に『シャープを助けてやれ!』」に驚く。大企業の破綻情報は別に珍しいものではないが、「シャープはアベノミクスに逆行している。安倍政権を崩壊させる気か!?」と激怒した安倍首相は、最近官邸で口走ったというから穏やかではない。その真偽のほどは不明だが、シャープがもし破綻ともなれば大問題だろう。春闘では大手電機メーカーを中心に軒並み3000円のベースアップ。これによって株価も上がりアベノミクスの成功を謳歌する雰囲気にあっただけに、「シャープ一社のために水を差された」観のある安倍官邸としては切歯扼腕に違いない。「安倍政権下では山一證券や北海道拓殖銀行のような大型倒産は絶対出すな!」という上からの厳命で、経産官僚幹部たちは右往左往しているらしい・・・

 そこでクローズアップしてきたのが東京三菱UFJとみずほのメインバンクだ。いま、財務省、金融庁を中心にいろんな策を練っているらしいが、妙案が見つかるかどうか。安倍官邸の意を受けた経産省は、ありとあらゆる方策を駆使し「禁じ手」をも連発してシャープを救おうと躍起となっている。アベノミクス、安倍政権そのものの浮沈が、シャープの行く末にかかっているから蓋し当然だろう。しかし、「死に体」の企業を国策で無理やり生き永らえさせれば、それこそモラルハザードを生じかねない。ある三洋電機の元社員は言う「今のシャープはパナソニックに吸収される直前の三洋にそっくりだ」と。そのソフトラッディングはかなり難しく、タイムリミットが刻々と迫っていると「週刊現代」は報じている・・・そんなにヤバかったとは!?・・・

  今日の一句は、「水を出て 家鴨寄り添う 暮春かな」安住 敦。

 

2015年4月 7日 (火)

今後、「粛々」という言葉は使わぬ!

  かなり以前から政府が再々口にする「粛々とやるだけ」に違和感を持っていたが、今回の菅官房長官が言ったという「もう言わない」に何かほっとした感じがしている。翁長知事ではないが、「粛々」という言葉には、どうしても上から目線を感じるし、極めて官僚的な臭いすらする。6日、フジテレビに出演した菅官房長官は、「私の粛々といった言葉が、上から目線と感じとられたとするならば、もう言わない」と明言した。この粛々という言葉が、海外の新聞には「着実に」とか「静かに」という意味だとしているらしいが、頼山陽の詩、「鞭声粛々、夜川を渡る」の粛々も「軍勢の静かさ」を表しているわけで、本来、上から目線という意味では決してない・・・

  ただ、今日の政治家が批判を浴びる苦境にあって、「慌てず騒がず」事を進めるという意味で好んで用いるようになった(毎日新聞・余禄4/7)のが、この「粛々」だという。そう言えば、国会なんかで多数与党が、法案を強行突破するときによく使っているのを思い出す。特に沖縄では、菅官房長官が粛々という言葉を発する度に、米軍統治下でキャラウェイ高等弁務官の有無を言わさぬ態度がダブり、「上から目線」を強く感じてるのだという。たかが言葉といってしまえばそれまだだか、上に立つ政府としては、弱者である沖縄県民の心情を、十分に忖度して然りではないか・・・初の「菅:翁長」会談、やって非常によかったと思う・・・

  今日の一句は、「春の夜や 翼をたたむ ごとつどふ」関根誠子。

 

2015年4月 6日 (月)

世界が日本を買いだした!

  日本の「株式バブル云々」の噂が聞こえるなか、今日発売の週刊現代(4/18号)の巻頭大特集「『株はまだまだ上がる!』そう読んだほうが勝つ」との見出しに驚き、さっそく読む。これまでは「たかが週刊誌」とあまり信用しなかったが、政府や大企業の忖度報道が多い昨今のこと、問題把握と切り口の鋭さにおいては大メディアより遥かに面白い。曰く「GPFG(ノルウェー政府年金基金グローバル)が日本企業1527社の株を4兆8千億円買っていた」という。1年前に比べて1兆円増だ。また、日本国債も約3兆円保有しているとのこと。同ファンドの運用総額100兆円というから、これからまだまだ「日本買い」を続けるに違いない・・・

 なぜ日本株に目をつけたのか。或る専門家は言う「日本企業が株主還元の姿勢を打ち出したことが大きい。まさに『文明開化』だ。日本株はこれから10年、20年かけて質の高い市場に変貌していくなかで、これから彼らは本格的に、『質の高い』日本株に買いを広げて行くに違いない」と。ニュージランドの年金基金も日本株を膨らませているという。今までの日本株は日銀やGPIF(年金積立金管理運用独立法人)が買い支えてきたわけだが、そろそろ調整局面という時点での日本株買いの増勢である。同誌執筆の専門家は、「年末、23000円~25000円を予想している」という。果たして?!・・・いま世界に広がりつつある地政学的リスク、無難に乗り越えればいいが・・・

  今日の一句は、「春眠の 夢でよかりし 涙かな」上村占魚。

 

2015年4月 4日 (土)

菅官房長官の沖縄入りと安倍首相の訪米

  今日、菅官房長官が沖縄入りしたという。「会う必要がない」が一転して「会う」になったのはなぜか? 4月26日から5月2日まで安倍首相が訪米、上下両院議員合同会議で演説するが、米国を悩ませている沖縄問題もテーマの1つであり、菅官房長官の沖縄入りはそのアリバイづくりではないかとの見方が専らだ。したがって、5日の「菅官房長官:翁長沖縄県知事」の会談も前進することはまず期待できない。今日のテレビBSジャパン「週刊ニュース新書」に田中 均氏(元外務審議官)と前泊 博盛氏(沖縄国際大学教授)が出演、「辺野古問題」の現実を語った。田中氏は「政府はもっと知恵を出し、工夫すべきだ」と。そして前泊氏は、「沖縄県民は反軍ではあったが親米だった。それが反米に変わりつつある。そして駐留兵士にも『こんなに嫌われながら、我々はなぜ命を?』がある」という・・・

 会員制情報誌「選択」4月号の巻頭インタビューで「日米同盟『形骸化』は止まらない」と語った「ダグラス・パール氏(カーネギー国際平和財団副所長)」の意見が心に重くのしかかる。曰く「現状、日米のトップの関係は完全に行き詰まっている。互いの信頼関係が醸成されていないので、このまま改善することはないだろう。すでに米国政権内では『安倍はトラブルメーカー』と認識されている。オバマと安倍がいくら口先だけで日米安保の重要性を説いても意味はない。そうした意味で日米同盟はどんどん形骸化している」と。そして、中国との緊張関係が日本の手に負えなくなった時、米国は日本を突き放すことも十分考えられるとパール氏は言うが・・・4月の安倍訪米、米国での待遇ぶりを冷静に観察すべきだろう・・・

  今日の一句は、「花時の 人迷ひくる 裏戸かな」野村泊月。

2015年4月 1日 (水)

アジア投資銀行(AIIB)、創立メンバー昨日(3/31)締め切り

 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創立メンバーの募集が昨31日で締め切られた。当初、米国の不参加呼びかけもあって28ヵ国だったが、最終的にフィンランド、ノルウェイ、スウェーデンが名乗りを上げ48ヵ国でスタートすることになった。日本は相手が嫌いな中国でもあり、米国への遠慮もあって、参加を見送ったという。昨日、麻生財務相は、「もし焦げ付きが発生すれば、皆さんの税金で払わなければならない」と分かったような分からない弁を述べていたが、豪州首相が言うように「心配がある程度解消されたから我々は参加したのだ」が、リアルな対応ではなかったか。「6月に決めても遅くはない」が日本のビヘイビアらしいが、この判断、大丈夫だろうか?・・・

 一連の流れの中で世界を驚かせたのが英国だ。中国の誘いに敢然と乗ったからである。米国の渋い顔が目に見えるようだ。世界の政治、軍事、金融の「覇権」を握っていた米国の態度がよほど肚に据えかねていたのだろう。「米一極体制」が崩れた瞬間とも言えなくもない。英国は英国で、敢えて誘いに乗り、理事会などで内部から中国を抑え込む戦略を考えているのかもしれない。他方、米国も突然、参加を決める可能性がある。先日、海南島で行われた「ルー・米財務長官と李克強首相の会談」でも和やかな雰囲気だったからだ。日本が突然、梯子を外されないとも限らない。安倍首相は「何もあわてることはない。大いに活発に議論してほしい」といたって呑気だが、果たして?・・・英・FT紙によれば「北京駐在の日本大使は『数ヵ月以内に日本も参加する見通しだ』と語った」とのこと。もう決まっている?・・・

  今日の一句は「四月始まる 豁然と田がひらけ」相馬遷子。

2015年3月29日 (日)

2021年、「小泉進次郎」が総理になる!?

  テレビ番組が更改される時季、気になる報道番組(特に担当コメンテーター)に関西テレビの「アンカー」がある。水曜日担当の青山繁晴氏が早くから予告していたので、番組が終わるのは知っていたが、今日、録画分をチェックするなかで、面白い話題を見つける。それは、「2021年、小泉進次郎は総理になる!」という27日(金曜日)の鈴木哲夫・コメンテーターの大胆予測である。2008年11月、鈴木氏がたまたま飯島事務所を訪ねた時、「進次郎」と会う。何でも衆院の初出馬に指南役を頼みに、すでに父とは関係がなくなっていた飯島氏の事務所を訪れたとのこと。その進次郎の胆力に鈴木氏は驚き、これは将来は大物になると思ったという・・・

  「進次郎」が総理になるという2021年は6年後だが、その間この9月を入れて3度目の総裁選がある。その時、彼は40歳。日本では史上初の最年少だが、欧米ではザラにいる。あの弁舌と国民的人気は申し分ない。しかし、前途には高い3つのハードルがあると鈴木氏。それは「脱原発」「政権構想」「チーム進次郎」だ。脱原発は親父譲り。政権構想は被災地に足繁く通っているので、エッセンスは掴んでいる。問題は「チームづくり」だ。サポートしてくれるのは誰か? これはまだ未知数。しかし、「私がただ一人、固有名詞を上げられる人物がいる。それは石破 茂氏だ」と鈴木氏。「石破は次を狙っているはず」が一般的な見方だが、ちょっと分からない。いずれにしても、2021年頃は内外とも大問題が山積しているはず。強力なり―ダ―の出現が求められことは間違いない・・・面白い鈴木哲夫氏の見方だ・・・

  今日の一句は、「大和路の 宮もわら屋も つばめかな」与謝蕪村。

 

2015年3月24日 (火)

米国が中国主導のAIIBに急接近

 米国時間の22日、米・ウォルストリート・ジャーナルは、中国が中心となって設立する「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」をめぐり、オバマ政権が中国に対して、アメリカ主導の「世界銀行」や「アジア開発銀行」との共同出資を提案していると報じたことに注目する。アメリカ財務省りシーツ次官は同紙に対し、「アメリカは国際金融の枠組みに強化する新しい多国籍の金融機関を歓迎する」と語ったという。中国の呼びかけに真っ先に応じた英国、これが欧州を牽引したかっこうとなった。これまで距離を置いていたのがアメリカと日本。だが、アメリカが先に入るとなると日本はどうするか?・・・

 他方、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は23日、AIIB設立計画を歓迎する声明を発表した。このままでは、中国を毛嫌いし、AIIB参加を拒否していた日本だけが孤立しかねない状況となる。財務官僚に動かされた麻生財務相の発言も、日増しに前向きになってきているのは事実。もしアメリカが入るとなれば、日本は「否」とは言えず渋々認めざるを得ないだろう。ところが、自主性を示すためアメリカより先に参加を表明する手もないではない。安倍首相、どんな決断をするか?・・・日本にとって、実に悩ましい問題・・・

  今日の一句は、「春の夢 心驚けば 覚めやすし」富安風生。

 

 

2015年3月23日 (月)

「世界で一番貧しい大統領」の言葉

 先日、NHK報道番組、「Biz+サンデー」で紹介された南米ウルグアイのムヒカ大統領の演説をまとめた絵本が日本でベストセラーになっていることに驚く。今日発売の「週刊ポスト」に掲載されていることを知り、買って読む。絵本のタイトルは「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」。現在まで売れている部数は「75000」、さらに増刷を重ねているいう。大統領は訴える「人より豊かになるために、情け容赦のない競争を繰り広げる世界にいながら、『心を一つに、みなんな一緒に』などという話はできるでしょうか。だれもが持っているはずの、家族や友人や他人を思いやる気持ちはどこに行ってしまったのでしょうか」・・・

 さらに言う「世界を襲っているのは、実は欲深さの妖怪なのです。貧乏とは、少ししか持っていないことではなく、限りなく多くを必要とし、もっともっと欲しがることである」と。ウルグアイは人口300万人の小国で、1300万頭の牛と1000万頭の羊がいる酪農国。ムヒカ大統領は主張する「人と人とが幸せな関係を結ぶこと、子供を育てること、友人を持つこと、地球上に愛があること・・・こうしたものは、人間が生きていくためにぎりぎり必要な土台です。発展は、これらをつくることの味方でなくてはならない。なぜなら、幸せこが最も大切な宝だからです」と。今も10%近い超インフレに悩まされているウルグアイ、来年3月の任期満了まで貧しい大統領の苦闘は続く・・・収入の9割を゜ボランティア財団に寄付するため、生活費は1千ドル程度という・・・

  今日の一句は、「尼寺は 彼岸桜は 散りやすき」夏目漱石。

2015年3月21日 (土)

自民党長期政権に暗雲「2つの危機」

 昨日の関西テレビの報道番組「アンカー」にコメンテーターとして出演した鈴木 哲夫氏が、「長期政権がどこまで続く」といわれる自民党に暗雲が覆うとして、2つの危機を指摘したことに注目する。1つは「人材の危機」。西川農林大臣が辞任、後任がなかなか見つからず、前任の林 芳正氏に落ち着いたが、「留任させておけばよかったものを・・・」との声が党内外から出る始末。何でも、多くの入閣候補者が”身体検査”に引っかかりオールアウト。「政治資金規正法」が、どうも厳しすぎたようだ・・・

 あと1つは、各派閥にプリンス(将来の総理候補)がいなくなったこと。「世襲、政策通、清廉」がその条件だが、その3つを兼ね添えた中堅・若手にこれといった人物が各派閥に払底しているらしい。少なくとも無派閥の「小泉進次郎」に太刀打ちできる人物がいない。小選挙区制や総裁選を議員+党員にまで広げたことが、この原因となっているとのこと。一強といわれる自民党がこうだから、野党は推して知るべし。このままいけば、日本の政治家の小粒化が心配される・・・大物政治家の出現を待つしかない・・・

  今日の一句は、「春分の おどけ雀と 目覚めたり」星野麦丘人。

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